第37回東日本外来小児科研究会のご案内
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今回は、横浜市の上大岡で行います。
日時:平成28年10月16日(日)
会場:ウィリング横浜 12F 研修室
詳しいアクセスは、こちら にあります。
上大岡駅までは・・・
- 羽田空港から 京急線で約30分
品川から 京急線で約30分
新横浜から 横浜市営地下鉄で約30分
- 横浜から 京急線で約10分
参加費
- 医師・一般 事前登録の方(10月10日まで) 1500円 当日参加の方 2000円
- 看護師・事務・薬剤師など医療機関で働く医師以外の医療従事者の方 事前登録の方(10月10日まで) 500円 当日参加の方 1000円
- 事前登録サイトはこちらをクリックしてください。
日本小児科学会研修集会4単位
プログラム
午前受付開始 10:00~
●コメディカル向け企画
10:15~11:15(延長可)
【121号室】 かゆそうな皮膚を見た時、あなたはどうしてる?~看護師編~
(看護師編と書かれていますが、医療従事者であればどなたでも参加できます)
コーディネーター:あかちゃんとこどものクリニック(川口市/埼玉県) 田中秀朋
- 患者さんの顔を見た時に、「この子かゆそう、ちゃんと治療してるのかしら?」と思ったことはありませんか。
咳、発熱、下痢といった主訴だったり、予防接種目的だったりしても、目の前のお子さんのかゆそうな皮膚ってとても気になりませんか。
皮膚科に通っていますか?何を塗っていますか?どうやって洗っていますか?その子のことを知って、本当のことを教えてあげるだけで、ほとんどの子どもの肌はつるつるに・・・
【122号室】 予防接種のヒヤリハットゼロをめざして ~コメディカル主導のワクチンリスクマネージメント~
(医療従事者であればどなたでも参加できます)
コーディネーター:まなこどもクリニック(千葉市)コメディカルスタッフ
- 忙しい日々の予防接種外来では、ヒヤリハットをなくすことはなかなか難しいです。
ヒヤリハットゼロを目指して、当院がとりくんでいることについて発表します。
ワクチンの予約をとる時からヒヤリハットゼロの取り組みは始まっています。受付場面でのダブルチェック、接種場面でワクチンの量や種類を間違えなくする工夫、インシデントレポートを活用して、同じ間違いを繰り返さない工夫などについて、具体的に紹介します。
それぞれのクリニックにあった事故防止策を、スタッフ目線で作ることが大切です。
11:15~12:15 休憩
上大岡駅ビル内に多くのレストランがありますのでご利用ください。
午後受付開始 12:00
午後は、【121号室+122号室】で、12:15~行います。
●一般演題
12:20~ 6演題を予定しています。
1.発熱と血清ナトリウムの関係―進化医学の観点から考察するSIADHの意味ー
くさかり小児科(所沢市)草刈章
- 肺炎や細菌性髄膜炎などの発熱患者では,しばしば低Na血症が問題になる.その発症機序としては抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が起きるためと説明されている.なぜそうなるかについては明快に説明されていない。筆者らは2010年の外来患者の57例、2011~12の2年間に当院を受診した175例の呼吸器感染症患者を対象として発熱と血清Naの関係について調査し,検査当日の体温と血清Naは負の相関をすることを明らかにした。
近年,発熱性、あるいは炎症性疾患におけるADH分泌の二つの機序が明らかにされた.一つはSwart らの論証によるもので炎症性サイトカイン(IL-6)が直接にバゾプレシン分泌ニューロンを直接刺激し,分泌を促すというものである(Nephron Physiol 2011;118:45-51).二つ目はSharif-Naeini らが実証したもので,体温の上昇をVP分泌細胞がイオンチャンネルTRPV1を通じて感知し,ADHを分泌するというものである(Neuron.2008 ;58:179-185).この場合,病気の重症度や種類によらず,体温が上昇すれば低Na血症になり易いことを意味し,筆者らの報告と符合する.
TRP は生物がその環境のなかで適切な行動を選択し,生き延びて行くためにはその環境の物理的,化学的状態を感知する必要があり,そのためのセンサーとして働くことが分かってきた.TRPV1は温度を感知する9種類のTRPの一つで,43℃以上で活性化すると言われているが,炎症の存在下ではその閾値が低下し,より低い温度で活性化し,ADHを分泌する.
ADHは両棲類以上の脊椎動物で機能することは分かっていたが,近年,肉鰭類の肺魚においても乾季,泥にもぐって夏眠するときも作動することが分かった.すなわちADHは環境の変化や病気,怪我などの危機時に水分確保を最優先とするホルモンとして進化史上に登場した.この原則はヒトにおいても作動する.輸液治療が一般化する以前は,感染症罹患時の脱水症の発現を予防し,治癒、そして回復に有利に作用した.輸液治療が普及してSIADHという病態が問題になったのである.発熱時はADHの分泌亢進によって水過剰の恐れもあり,水分投与や輸液は慎重に行う必要がある.
2.WISC-Ⅳを用いての子ども支援
佐久間内科小児科医院(二本松市/福島県)佐久間秀人
- 学校や家庭生活において何らかの「困り感」を抱くケースに対してのウェクスラー児童用知能検査(WISC)は、「良さの観点」で子どもの認知機能を評価する有用なツールである。当院では平成25年より、落ちつきがない、対人関係困難などで受診する小中高校生に対して、日本版WISC第4版(WISC-Ⅳ)を用いての生活・学習支援を行なっている。今回、これまでに当院で行ったWISC-Ⅳの結果を紹介し、さらには支援に結びついた症例のうちの一つを報告する。
3.ヘルペスの再燃、あるいは細菌感染により痒みが増悪した症例の報告
くさかり小児科(所沢市)草刈章
- 湿疹、アトピー性皮膚炎はさまざまな要因で増悪をきたすが,演者は取り分け、シャンプー,石鹸の使用、および単純ヘルペスの再燃,細菌感染が重要な要因と感じている.この度は後者の症例について報告する.
第1例は1歳10ヶ月女児,乳児期からアトピー性皮膚炎があったが,12月19日,急に皮膚炎が悪化したため受診した.体幹部に膨疹様紅斑を伴う皮膚炎を認めた.ヘルペスの再燃による増悪と診断し,ビクロックスシロップ6ml, 3日分を処方した.服用後痒みは急速に軽快,22日には皮膚炎の著明な改善を認めた.
第2例は6歳9ヶ月の女児.幼児から喘息とアトピー性皮膚炎があり,時々当院で診ていた.6月26日、皮膚炎が急激に増悪し,痒みがひどいということで受診した.全身に紅斑を伴う皮膚炎を認めた。ヘルペスの再燃による急性増悪と診断しアシクロビル顆粒2.4g/日、2日分を処方した.28日皮膚炎は著明に軽快,痒みも治った.母親は「今まで同じようなことが何度かあったが、その度に強いステロイド剤を処方された。ひどいときはかゆがってパニック状態になり、手がつけられなくなり親子どもども精神的参ってしまった。ステロイドを使わないでこんなにきれいになってかゆみが治まるとは信じられなく、夢のようだ。」と感想を述べた.
第3例は3歳女児.9月12日より痒みを伴う発疹が前額部にでて,夜には耳介,口周囲,下腹部,足背に広がり,15日に初診した.顔面や耳介には紅斑を伴う発疹,下腹と足背には細かい発疹の集簇性皮膚炎を認めた.ヘルペスの再燃と診断し,バルトレックス顆粒を2日分処方したが,改善を認めないため,細菌感染による皮膚炎の増悪と診断し,ユナシン細粒4.0g/日を処方した.症状は急速に改善した.
4.便秘により尿閉を来した2例
はらこどもクリニック(所沢市)原拓麿 原朋邦
- 2例とも激しい腹痛及び腹部膨満を呈し来院した。腹部エコーでは著明な膀胱の拡張及び直腸に便塊を認めた。
- グリセリン浣腸により排便及び排尿を認め、2例とも症状は改善した。その後は同様のエピソードは6か月以上経ても認められず、膀胱直腸障害はないと推測された。
- 正常児でも便秘により尿閉をきたすことがあり、浣腸により改善すると考えられた。
5.親子クラスを通した子育て支援 ”主役はコメディカル”
かるがも藤沢クリニック(藤沢市)江田明日香
- 当院では定期的に親子で参加できるグループクラスを開いています。
子育てピアサポートを目的とした「おひさま広場」は、子どもの月齢が近い保護者同士が自由におしゃべりする少人数クラスです。また毎回テーマを決めて参加者へ情報提供をする「ベビークラス」は、授乳、スキンケア、予防接種、離乳食、赤ちゃんとのふれあい遊びなどをテーマにしています。どちらのクラスも看護師、助産師、保育士、臨床心理士といったコメディカルが中心となって企画・運営しています。
当初かかりつけの方への子育て支援を目的として始めた親子クラスですが、医師とコメディカルが協力してクラス構成を考えることで、今では日常診療の補助的役割を担う大切な医療資源にもなっています。今回はこの親子クラスについて、コメディカルの関わりを中心に発表させていただきます。
6.ラオ・フレンズ小児病院を訪ねて
横田小児科医院(小田原市)横田俊一郎、田原卓浩、中野康伸、三浦義孝、目時規公也
- 「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー(フレンズ)」は、日本人写真家が創設した、アジアの恵まれない子どもたちの医療支援を行う団体です。1999年にカンボジアのアンコールワットの近くに小児病院を作り、2012年この病院の運営を現地の人に任せラオスに新たな小児病院を作ることになりました。これがラオ・フレンズ小児病院で昨年2月にオープンし、昨年8月から入院病棟、今年の8月から手術室が稼働し始めました。「医療+教育+予防」が活動の理念です。
今年9月、日本外来小児科学会の会員5人で世界遺産の街ルアンパバーンにできたこの病院を訪問してきました。国民の多くがきわめて貧しく、栄養障害が今なお大きな問題となっています。精霊信仰が根強く、医療にアプローチすることさえ難しい少数民族もいます。フレンズ日本代表で看護師の赤尾和美さんに案内していただいた病院の状況、山奥の家族への訪問診療に同行した様子を報告し、フレンズの活動をお伝えしようと思います。
●招待講演
13:45~
「外来小児科の次の課題 -「何か」を追い求めて-」
講師:仏教大学 武内一
- 私は、香川県小豆島に生まれ、島での小児科医が医師を目指す原点でしたが、学生時代の重症心身障害児施設第一びわこ学園との出会いは、私の人生観の根幹となったと思います。島に戻って4年間勤務する中で肺炎球菌のペニシリン耐性が消える経験をし、抗菌薬適正使用のガイドラインづくり、さらに肺炎球菌ワクチンの定期接種化への学術活動と患者会運動につながっていきました。そして今、貧困や社会の公平性といった問題に取り組んでいます。
- (事務局より)
- 武内先生は小児医療の問題を謙虚にまっすぐに受け止めそれをひとつひとつ解決するために傍観するのではなく自ら動いてこられました。先生のお話をぜひお聞きする機会を何としてでも作りたいと考え、今回お招きいたしました。多くの医師、看護師、コメディカルに聞いていただきたいと思っています。
●一般演題
14:45~
7.クリニックでできる子宮頸がん予防ワクチンの勧奨とその効果
星川小児クリニック(横浜市)山本淳
- 2016年4月、予防接種推進専門協議会が、日本小児科学会、日本産科婦人科学会をはじめとする、関連学会からの賛同を受け、HPVワクチンの接種を推奨するという、声明を出した。2016年5月の日本小児科学会学術集会でも、HPVワクチンに関する討議が行われ、多くの医師が接種勧奨の再開を強く望んでいるということがわかった。しかし、その後も一般の人たちが感じているHPVワクチンに対する漠然とした不安とは非常に乖離しているように思われた。当院では、医師による30分程度のミニ講演会を企画し、すでに3回ほど開催した。すぐに接種に結びついた例はまだ少ないが、参加者に対してアンケートを行い、患者の声をひろったので、その結果を集計して報告したい。
- 参考:クリニックで二種混合ワクチンなどを受けにきた年齢の比較的高い女児に渡しているパンフレット(pdf)
●招待講演((株)MSD主催)
15:00~
「ワクチンで予防できる子宮頸がん」
講師:(独)地域医療機能推進機構相模野病院婦人科腫瘍センター センター長 上坊敏子
- 我が国の子宮頸がん年間死亡数は約3000人で、微増傾向にある。若年女性の罹患と死亡が急増していることが大きな問題である。
頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)で、上皮内腫瘍(CIN)を経過してがんに進行する。
HPV感染そのものを予防するワクチンとCINの段階で発見してがん化を予防する検診とで、頸がんの90%以上が予防できる。わが国の検診受診率は約42%と、USAの85%を筆頭とする欧米諸国よりかなり低いのが問題である。
ワクチンは2006年に接種が開始され、129か国で承認されている。わが国でも2012年4月に定期接種が開始されたが、副反応報道を契機に積極的接種勧奨が差し控えられているため、接種率はほぼゼロである。諸外国やWHOをはじめとする国際機関はHPVワクチンの安全性に問題ないと判断し、接種を中断した国はない。わが国のみ頸がんの罹患率・死亡率が低下しない将来が危惧される。
低い検診受診率を向上させる努力と共に、ワクチンの効果と副反応に対する正しい理解を広める努力が子宮頸がん征圧のために不可欠である。
16:00 閉会予定
企業展示 : ウェルチ・アレン・ジャパン
- 弱視スクリーナー 「スポット ビジョンスクリーナー」ほかを展示いたします。
連絡先 : 東日本外来小児科学研究会事務局 星川小児クリニック 山本淳
メールでお願いします。hoshikawa@h05.itscom.net