【特別講演1】13:30~14:15 司会:田中秀朋(川口市)
- 小児科医が知っておきたい、子どもの眼疾患
- 神奈川県立こども医療センター眼科 浅野みづ季先生
- 小児の眼疾患は、視機能発達に重大な影響を及ぼすものが多く、早期発見と適切な処置が必要とされます。小児は自ら症状を訴えることができないため、発見が遅くなることも多く、また診察自体もなかなか満足にさせてもらえないことも多いです。小児の眼疾患は屈折異常や斜視だけでなく多岐に渡りますが、眼科医でも小児眼疾患を学ぶ機会は少なく、小児というだけで苦手意識を持っている医師が多いのが現状です。御家族が眼の何らかの異常に気が付き、相談する最初の窓口は眼科ではなく小児科の先生方という事も多いかもしれません。実際、多くの先生方から御紹介を頂いており、今回は小児科の先生方がご相談を受けやすい弱視、斜視、鼻涙管閉塞症などの疾患、小児の眼に関する発達等をお話しさせていただき、日々の診療に少しでもお役に立てれば幸いです。
【特別講演2】14:15~14:45 司会:田中秀朋(川口市)
- 子ども医学部
- 吉永小児科医院(福岡県久留米市)吉永陽一郎先生
- 2013年より「子ども医学部」という企画を行ってきた。福岡県久留米市内の有志の各科医師が、25名程度の子どもを相手に、各診療科の医学授業を行う。自分が着けたエプロンに臓器のシールを貼っていくもの。内視鏡手術のデモ機で輪ゴムを扱うもの。妊婦さんのボランティアのお腹にエコーを当てるもの。各授業は担当者のアイデアで多様である。子ども達は授業を受けると、修了証書と処方箋をもらう。商店街の仮設薬局で処方箋を出し、チョコレートを自分で分包して持ち帰る。その周囲では様々な仕事体験のコーナー、白バイや消防車の試乗も設け、多職種によるお祭りを行ってきた。子ども医学部はその中核をなす。
4〜5教室で4時間目まで、計500人ほどの子どもたちが受講していた。しかし、希望者が増えるにつれ抽選に外れて受講できない子どもたちも多くいた。2016年、市の中心部に市民ホールが開館したため、1時間目の授業は、子どもたち全員が小児科の授業を受講することにした。2時間目からの受講に当選した子のみならず、抽選に外れた子どもたちも含め、約700名、全員が配布された小さな白衣を着て受講した。
人の身体の不思議に触れる。医学を理解し興味を持つ。医療職に興味を持つ。ふるさとが医師の町であり、その周囲にもたくさんの人々が仕事をしている事を知る。福岡県久留米市の、子ども医学部の試みを紹介する。
- <事務局より>
- 吉永陽一郎先生は、2019年の日本外来小児科学会年次集会の会頭です。年次集会のPRも是非お願いしようと思っています。
【一般演題2】14:55~15:15 司会:山本淳(横浜市)
- そのうち食物アレルギーの負荷テストはいらなくなる・・・かも・・・だろう・・・たぶんそうなる! -食物アレルギー自体がほとんどなくなるかも-
- 星川小児クリニック 橋口可奈 山本淳 (横浜市)
- 近年、食物負荷テストの重要性も認知され、実施する医療機関も増えてきた。しかし、食物アレルギーの患者さんのカルテを見返してみると、「こうしておけば食物アレルギーにはならなかったはず」と思われる症例が非常に多いことにあらためて気付かされる。食物負荷テストを必要とする児はほとんどいない日も来るのではないだろうか。当院では医師同士で「そのうち負荷テストなんていらなくなるよね」と話すことも多い。食物アレルギーを予防するキーは乳児期早期から関われる小児科外来にこそあると思う。
食物負荷テストを実施できる医療機関を増やすことも今は必要かもしれないが、そろそろ食物アレルギーの予防に視点を移すべき時期にきていると思われる。