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-はじめに-
気管支に楽をさせる治療が当たり前の時代になりました
93年に「小児ぜんそくを治す本」、続いて「図解よくわかる小児ぜんそくの本」を出版し、改訂を重ねながら15年がたちました。おかげさまで、10万人以上の方に読んでいただくことができました。
最初のころは、小児ぜんそくというと、苦しく、学校にもいけない、救急外来の常連になってしまうようなお子さんが多くいらっしゃいました。
この15年、もちろん新しい薬もでてきましたが、一番変わったのは治療方針。少しぐらいの発作は水を飲んで腹式呼吸をしてがまんをさせる治療が姿を消し、発作を予防し、質の良い治り方を追求する治療が確立しました。「ぜんそくは楽をすればするほど良くなる実に都合の良い病気」というコピーがそれほど意外に思われないような時代がきたのです。
こんどはナースと一緒に書きました
その間、星川小児クリニックには多くの患者さんが、不安をかかえて受診されました。患者さんに大切なことを説明し、納得して治療と取り組んでいただくには、医師だけの力ではとうてい及びません。そんな時、クリニックではナースたちがどんどん成長し、医師のかわりではなく、ナースであるメリットを最大限に生かして患者さんに接するようになりました。
小児ぜんそくは放っておけば治る、そんな病気じゃありません。だから、薬の使い方も、環境整備の仕方も、そして通院しようという気持ちを持ち続けることも結構大変。それをナースに教えてもらったと思ってくれている患者さんもきっとたくさんいると思います。医師が言ったことがすぐに理解できなかったときに、ナースにやさしく教えてもらった人もいるでしょう。
小児ぜんそくの診療は、ふつうのかぜとは違い、やはり長いおつきあいになります。どうせなら楽しくおつきあいしたいですよね。医師もナースも一緒の、クリニックの雰囲気そのままのこの本を、ぜひ楽しんでください。
わたしたちのクリニックはごく普通の小児科です
私たちのクリニックは、どの町にもあるような、普通の小児科クリニックです。その普通の外来の診察室で、ぜんそくも、乳児健診も、予防注射も、かぜももちろん、み~んなみている医師とナースです。
ですから、「赤ちゃんがちょっとゼーゼーしたんだけど、ぜんそくじゃありませんか?」とか、「ぜんそくっぽいって言われちゃったので心配」みたいな相談の経験も十分(笑)。もちろん、結構長くぜんそくの定期通院をしている人もいますけど、みんなに楽しく読んでもらえる本をつくりたいと思いました。
ところで、カラーの口絵、すごくかわいいですね。私たちもとても気に入っています。私たちが持っている小児ぜんそくのイメージも、まさにこの絵のように、明るく、かわいく、楽しいものです。そして、クリニックには、ぜんそくを良くするためのワザや、お約束、そんなものがいっぱいつまっているのです。
それをお話ししたくて書いたのがこの本です。
お子さんのぜんそくが心配だったけど、こんな本に出会えて良かったなあと思っていただけたら、とても幸せです。
星川小児クリニック
院長 山本 淳 看護師 小林晴美