接種回数や接種間隔
添付文書上は、「生後6ヶ月~12歳は2回接種、13歳以降は1回接種」とされています。また、接種間隔は、およそ2~4週間とされています。しかし、以下に説明しますように、必ずしもその通りにしなくてはならないというものではありません。
また、参考までに米国では、「8歳までは4週間以上の間隔をあけて2回、9歳以上は1回。ただし8歳までの小児でも過去に2回以上の接種歴があれば1回の接種で可」としています。製剤的には、両国ともほぼ同じものです。
接種回数について
インフルエンザの予防接種の効果は、それまでに接種した予防接種の効果、それまでに実際に感染したインフルエンザウイルスによって得られた免疫の効果も影響するので、1回で良いとか、2回しなくてはならないとかは、一概には言えないと思いますが、
- 3歳未満(あるいは未就学児ぐらいまでという人も多いですが)は2回接種とし、昨年まで接種を続けていたのであれば3歳から(小学生ぐらいからの人もいます)は1回接種で続ける。昨年接種していなければ、小児は2回接種が良い。
- 小学生以上で毎年2回接種をすることは悪いことはないが、そのコストを他の任意の予防接種や他の有意義なことに使ってもよいのではないかと思う。
ぐらいがおすすめかなと思います。ひとつの根拠として、米国では、いろいろな種類のワクチンが使われていますが、一般に使われているものは、日本のワクチンとほとんど同じものですので、日本のルール、米国のルールを参考にしてご家庭で決められればよいと思います。また、3歳以上は1回の接種量が成人と同じになります。
ただし、極端にワクチンが不足してきた場合は、小児であっても、1回接種をお願いすることもあるかもしれません。
参考までに、化血研製ワクチンの2011年の添付文書にある臨床試験成績をご紹介します。
中和抗体は、感染防御に主にかかわっている抗体です。有意に抗体価が上昇した割合を示します。
6ヶ月以上3歳未満の小児38例で検討(1回に0.25ml接種)
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中和抗体陽転率 |
ブタインフルエンザ
(昨年までの新型インフルエンザ) |
1回目接種後 |
36.8% |
2回目接種後 |
81.6% |
A香港型 |
1回目接種後 |
47.4% |
2回目接種後 |
86.8% |
B型 |
1回目接種後 |
18.4% |
2回目接種後 |
47.4% |
3歳以上13歳未満の小児28例で検討(1回に0.5ml接種)
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中和抗体陽転率 |
ブタインフルエンザ
(昨年までの新型インフルエンザ) |
1回目接種後 |
85.7% |
2回目接種後 |
96.4% |
A香港型 |
1回目接種後 |
75.0% |
2回目接種後 |
82.1% |
B型 |
1回目接種後 |
39.3% |
2回目接種後 |
39.3% |
この結果からは、0.5mlを接種する3歳以上のお子さまについては、1回接種でも2回接種でもあまりかわりがないことがわかります。もちろん、抗体レベルだけで比較したものであって、抗体の維持、実際の感染防御のデータなどはありませんが、3歳以上で、しかも前年度接種者であれば、1回接種でも良いのではないかということは、比較的合理的な考え方であると思えます。
接種間隔について
前述のように、2回接種するとしても、日本では「2~4週間間隔(2010年までは1~4週間間隔と書かれていました)」、米国では「4週間以上あけて」となっています。ワクチンの接種効果は、一般的には、接種後2週間~5か月ぐらい持続するとされていますが、2回接種するとしたら、インフルエンザの流行をあえて考慮しなければ、米国のように間隔をあけたほうがより効果が持続すると考えられます。ですから、早めに1回目の接種をした方は2回目をあまり急がずに、1か月以上の間隔をあけて接種すれば良いと思います。ただし、流行がすでに始まっているようなときは、無理に4週間あけなくても良いかもしれません。