ママを育むクリニック(もちろんパパもですが)
日本の医療制度は、もちろん弊害もありますが、フリーアクセスです。
つまり、市民がかかりたいときに、受診したい医療機関にかかれるということです。
もちろん、夜間や休日のことを言っているのではありません。
外国ではホームドクターの紹介状がないと、小児科専門の医療機関にかかること(外来でも)は難しいのです。
さらに、ホームドクターも予約制ですから、子どもが熱を出したぐらいでは2日ぐらい先でなくては診てもらうことができないようです。
外国の真似をすればいいのかというと、必ずしもそうではありません。
日本の良いところは、小児科、内科、外科、耳鼻科、眼科、皮膚科、整形外科など、それぞれの専門性をもったクリニックが多くあるところとも言えます。これにより、「子どもが熱を出した」という単純なことでもとりあえず小児科にかかることができます。そうすると、小児科の医師やナースは子どもたちをたくさんみていますので、投薬、処置、検査をすることもありますが、それよりももっと大事なホームケアの説明をする機会をたくさんもつことができます。
そうすることで、患者さんは本当のホームケアを身につけることができ、徐々に「安心して、自信を持って」しばらく家で様子をみることができるようになるのです。
もちろん、薬漬け、検査漬けのようなクリニックもあるではないかと言われてしまいそうですが、それこそフリーアクセスですから、患者さん自身の目で選ぶこともできます。
上の写真は僕がとても好きな写真ですが、ナースが微笑みながら優しく診察を見守っています。お母さんがどのくらい不安なのか、医師はどんなことを伝えたいのか、ナースは感じながら診察に付き添っています。そうして、医師の診察の後のホームケアの話にも生かしているわけです。きっとナースとの会話のほうが印象に残るのでは、と、思います。
最初のうち、不安なときは、ぜひ気軽に受診してください。
大病院だと、「様子をみましょう」は、医師もなかなか言えないものですが、近くのいつでもまたかかれるようなかかりつけ医だったら、「様子をみましょう・・・そしてその様子のみかたは・・・こんなふうに・・・」という本音の話ができるのです。
外国(先進国)では、2日ぐらい先でないと予約がとれないのが当たり前だそうですが、それでは心配な2日間を過ごさなくてはならないでしょう。確かに自然に治る病気も多いので、結果的には問題ないことも多いとは思います。ですが、ホームケアのアドバイスを一番うれしいタイミングでさしあげられるのは、日本のフリーアクセス制度があればこそ。その制度を利用して、ホームケアを学んだママやパパは、その後は最初のうちは安心して様子をみることができ、しかも本当に急ぐときは早く受診させてくれるママやパパになってくれるのです。
結果的に受診の頻度は良い意味で年々徐々に減ってきますが、決して危険なことではありません。
星川小児クリニックは、患者さんとお話しをしながら、ともに成長する「ママを育むクリニック(パパもですが)」になりたいと思っています。
●こぼれ話
ある大きな病院の先生が、「星川小児クリニックから来てくれる患者さんは、とても話がかみあうし、よく理解してくれる、その違いをとても感じる」と言ってくださいました。当院の外来通院よりも、入院管理や専門性の高い医療機関での検査などが必要なときにお願いしているので、よく患者さんの「行き来」があるのですが、そんなふうに感じてくださったことをとても嬉しく思いました。ナースをはじめスタッフの質を褒めてくださることは結構多いのですが、患者さんのことを褒めてくださいました。それはたぶん、「ママを育むクリニック」の成果なんじゃないかなと思っています。
●駅から見えるメッセージ
2017年3月、星川駅が高架になりましたが、 子どもさんがブラインドをいたずらして上げてしまうと、ホームから院内が丸見えになってしまい、さすがに医療機関としてはまずいよね・・・ということで、目隠しシールを貼りました。でもただのシールじゃつまらない。そこで、お気に入りのシロクマ親子のロゴと、「よくわかるホームケアで、ママを育むクリニック」という文字を入れました。わざとですが、小さめのフォントで、「パパも」と入れておきました。もちろん、ママもパパも一緒に子どもたちを育んでいくことが大切であることは言うまでもありませんが、もともと「ママを育むクリニック」という言葉は、このページの一番上の写真に写っているナースが学会の講演タイトルにしようと考えてくれた(ひらめいた)、お気に入りのコピーなのですが、ママだけのほうが字数の関係で語呂が良いからで、パパを除外する気持ちなどもちろん全然ありません(笑)。むしろそこに、「パパも」と気恥ずかしそうにちょっと入れておくと、今まではママが中心になっていた子育てだけど、これからはパパもがんばるから入れてよね・・・という、ちょっと控えめな男性(イクメン?)の優しさが思い浮かぶようでかえっていいかな・・・と。ぜひ、パパもおいでください!最近はパパの来院が以前に比べ、本当に増えましたよ。