就学前の三種混合(DPT・トリビック)や不活化ポリオの推奨を考慮して乳児期から接種プランを自分で変更する方法
日本小児科学会では、最近、就学前の5~6歳の時期に、三種混合ワクチン(DPT・トリビック)ワクチンと、不活化ポリオワクチンの接種を、任意接種ですが日本小児科学会からも推奨されるようになりました。しかし、自費で行うとかなり高額になります。四種混合の接種プランを少し変更しておくのもおすすめなので、このページで解説します。
就学前に三種混合ワクチン(DPT・トリビック)が推奨される理由
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感染症発生動向調査:2018年週報より(図改変)
6~9歳頃の百日咳の患者さんが多いことがわかっているので、推奨されるようになりました。ただ、乳児期初期の百日咳と違い、比較的元気ですが、長期に続く咳が特徴で、最初から百日咳を疑うことは困難です。しかし、そのような子から未接種の小さな赤ちゃんに感染することもありますし、本人も咳が苦しいので、就学前にトリビックを追加することが勧められています。当院の接種料金は、当院で他の予防接種も受けていらっしゃる方で、中学生以下の方は、¥3300(税込)です。それ以外の方は¥3800(税込)です。
就学前に不活化ポリオワクチンが推奨される理由
残念ながら、ポリオは世界から根絶されているわけではありません。アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンはポリオ常在国ですし、ケニア、ソマリア、シリア、コンゴ、パプアニューギニアでも患者の発生が報告されています。
通常、諸外国では、4歳以降の追加接種がその後の抗体価を高い水準に維持するためには大切だということで、日本と同じ4回接種のアメリカでも不活化ポリオワクチンの4回目は4~6歳での接種になっています。また、その他の国は合計5回以上の接種の国が多くなっています。ところが日本では、最終4回目の四種混合ワクチンを1歳のうちに終わらせてしまうことが多いので、それでは早すぎるので、就学前に追加で5回目の接種をしたほうが良いということで、推奨されています。
三種混合(DPT・トリビック)と不活化ポリオなら四種混合で良いのでは
全くその通りで、2つを合わせれば、四種混合ワクチンと全く同じですから、四種混合ワクチンをもう1回接種すれば良いわけですが、任意接種でも5回の接種は認められないというのが、現時点ではメーカーや厚生労働省の立場のようです。
ただ、四種混合ワクチンにしても、不活化ポリオワクチンにしても、料金がかなり高く(不活化ポリオワクチンは任意接種で行う場合当院では¥8500)で、積極的にお勧めしにくいのが難点です。しかし、不活化ポリオワクチンを同じ4回接種で行っているアメリカのスケジュールを参考にすると、次のような方法も考えられると思いますので説明します。
アメリカのスケジュール
アメリカでは三種混合(DPT)と、不活化ポリオワクチンは別々になっています。
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成分の微妙な違いを無視して回数だけを比較すれば、日本のスケジュールと異なっているのは三種混合(DPT)の回数だけです。アメリカでは三種混合を5回接種しています。
アメリカのスケジュールを参考にして日本のスケジュールをちょっと修正してみると
日本の四種混合は通常、乳児期に初回接種として3回、さらに約1年後の1歳時に追加接種として4回目を接種しますが、これを少し遅らせても、7歳6ヶ月未満であれば、定期接種として認められます。
日本の四種混合のスケジュールをアメリカの不活化ポリオワクチンの合計4回のスケジュールに似せてみると、
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だいたいこのようになります。しかし、三種混合ワクチンの回数はアメリカでは乳児期に3回ですが、このプランだと乳児期に2回になります。少し心配になる方もいらっしゃると思いますが、四種混合や三種混合の効果はかなり高いので、おそらく問題はないと思います。
3回目をあえて15~18ヶ月としたのは、2回目から少しあけて接種することで、追加接種(ブースター)としての意味をもたせ、効果を長期間維持するためですが、アメリカでも不活化ポリオワクチンの3回目を規則上は6~18ヶ月としている(実際には1歳になってからが多いようですが)ので、乳児期の最後のほうなど、もう少し早くても問題はないかもしれません。
いずれにしても、このようなスケジュールで定期接種の規則の中で接種してゆけば、国際的なコンセンサスである「最後の不活化ポリオワクチンは4歳以上に接種することが望ましい」に添うことになり、就学前に任意接種(有料)で、三種混合(DPT・トリビック)ワクチンや不活化ポリオワクチンをする必要はなくなり、4歳以降の安心につながります。
途中に三種混合(DPT・トリビック)を挟んでDPTを合計5回にする方法
アメリカも日本も従来から乳児期のDPTは3回接種していたので、上記のスケジュールのように2回になっては心配ということでしたら、
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このように、途中に任意接種で三種混合ワクチン(DPT・トリビック)を接種すれば、乳児来のDPTは3回になりますから、全く問題がありません。
スケジュール1~3を示しましたが、できれば、不活化ポリオの3回目を1歳になって行うことで追加ワクチン(ブースター)としての意味を持たせたいので、比較するとしたら、スケジュール1または2が良いと思います。
三種混合ワクチン(DPT・トリビック)の料金は、当院で他の予防接種を受けている方は、¥3300です。
なお、この三種混合ワクチンは、四種混合ワクチンの前に、長年赤ちゃんに接種してきたものと全く同じですので、安全性についてはご安心ください。
保健所の健診のときにはご注意ください
青のスケジュールで、保健所の1歳6ヶ月や3歳児健診を受けたときに、四種混合ワクチンを早く受けるように指導される可能性はありますが、「四種混合ワクチンの4回目を4歳以上になってから受けたいと思っているが、日本小児科学会の推奨スケジュールとは違うことも了解している」とお答えいただければと思います。
赤のスケジュールは一般的ではありませんので、不思議に思われることがあるかもしれませんが、就学前に四種混合を1回接種するための工夫であることをお話しいただければ「なるほど、それはいいアイデアですね!」と言ってもらえると思います。
今後の規則の変更にご注意ください
星川小児クリニックでは、現時点でできるだけコストパフォーマンスのよいプランがあることをお示しする意味でこのページを作りました。しかし、良い意味でも悪い意味でも、予防接種の規則はコロコロ変わります。理想的には、就学前にMRワクチン2期と一緒に、定期接種(無料)として、四種混合ワクチンができるようになることですが、予算的にもしばらくは無理かなと思います。
もしかすると、上記のような工夫をしたのに、たまたま行政が動いて、規則が変更になり、せっかく工夫をしたのに、ある意味損をした(誰でも無料で追加接種ができるようになってしまった)というようなこともあるかもしれません。そのようなときは、制度の改善ということで、ご容赦ください。