三種混合ワクチン(トリビック)
百日咳予防のための三種混合ワクチン(小学校入学前がおすすめ)
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感染症発生動向調査:2018年週報より(図改変)
0歳、1歳の頃に接種した四種混合ワクチンは、もちろん百日咳の予防効果があるのですが、やはり徐々に抗体レベルも低下してきます。そのこともあって、図に示すように6~9歳ぐらいのお子さんは百日咳に罹患しやすいのです。実は百日咳はその名の通り、咳がとても長く、生活に支障を来すのですが、初期の診断はとても難しく、治療につなげることがなかなかできません。予防するのが一番良い方法です。
三種混合ワクチンは、四種混合ワクチンから不活化ポリオの成分を抜いたもので、百日咳、破傷風、ジフテリアのワクチンです。任意接種(有料)ですが、MRワクチン2期と一緒ぐらいに、小学校入学前に接種することを、日本小児科学会でも推奨しています。(小学生になってからでももちろん効果はあります)
四種混合の「追加」としての位置づけになりますので、1回の接種で十分効きます。
当院で他のワクチンを接種された方(中学生以下)は、通常よりも500円安く接種していますので、MRワクチン2期、あるいは、それに続いての接種をおすすめします。
なお、乳児期からの四種混合ワクチンのスケジュールを少し工夫して、最後の四種混合を4歳~就学前に、もってくることにより、トリビックを就学前にするのと同様な効果を狙うこともできます。詳しくは、
就学前の三種混合(DPT・トリビック)や不活化ポリオの推奨を考慮して乳児期から接種プランを自分で変更する方法をご覧ください。
(なお、2024年4月から五種混合で接種が開始された方には、この方法は使いにくくなっています)
妊婦さんにも大切なワクチン
百日咳が一番大変なのは、乳児期前半の赤ちゃんです。呼吸困難がひどく、死亡することもあります。しかし、四種混合ワクチンは生後3ヶ月にならないとできません。そうであれば、妊娠後期(28週~36週)に、妊婦さんが接種したらどうでしょうか。妊婦さんの体の中でできた抗体は胎盤を通じて赤ちゃんにも移行しますので、その赤ちゃんは生まれてしばらくの間は百日咳にかかりにくくなります。実はこの方法は海外では一般的に行われています。三種混合ワクチンはもともとは乳幼児のワクチンでしたが、最近は成人への接種も認められるようになったため、当院でも妊婦さんの希望があれば、28~36週に接種しています。上に小学生のきょうだいがいるような場合は感染の機会も多いので特におすすめです。
副作用
ほとんど問題になる副作用はありませんが、接種部位が腫れることが比較的多いです。